でんぐり返しができるようになるには?遊びから始める運動の土台づくり

「うちの子、でんぐり返しがうまくできない…」
「頭をうまく丸められない…」
お子さんがでんぐり返しに挑戦するとき、そんな様子を見たことはありませんか?
でんぐり返しは、一見すると簡単そうに見えますが、実はさまざまな動きや感覚が必要な運動です。
では、でんぐり返しができるようになるためには、どのような経験が必要なのでしょうか?
今回は、幼児運動スクールで取り組んでいる活動を交えながら、でんぐり返しにつながる運動経験の大切さについてご紹介します。
でんぐり返しがうまくできない理由
でんぐり返しがうまくできないとき、何度も繰り返し練習すればできるようになると思うかもしれません。
しかし、でんぐり返しは、ただ前に回転するだけの運動ではありません。
スムーズに回転するためには、次のような動きや感覚が必要です。
①体を丸くする
あごを引き、頭を中に入れて背中を丸める
②逆さまになる感覚に慣れる
頭が下がり、普段とは違う姿勢になることに慣れる
③手で体を支える
両手を床について体を支え、回転するための姿勢をつくる
こうした動きがうまくできなかったり、逆さまになることに慣れていなかったりすると、スムーズに回転できない場合があります。
また、頭を下げることや体が回転することに怖さを感じ、なかなか挑戦できない子どももいます。
つまり、でんぐり返しがうまくできない背景には、回転するために必要な動きや感覚の経験がまだ十分でないことも考えられるのです。

「回る」前に大切にしたい運動経験
では、でんぐり返しに必要な動きや感覚は、どのように身につけていけばよいのでしょうか?
そこで大切なのが、いきなりでんぐり返しを繰り返し練習するのではなく、遊びの中で必要な動きを少しずつ経験していくことです。
例えば、動物のまねをして四つんばいで歩いたり、頭を下げて足の間から後ろをのぞいたりする遊びも、でんぐり返しにつながる経験になります。
こうした遊びでは、子どもたちは
「体を丸くしよう」
「逆さまになる練習をしよう」
と意識しているわけではありません。
遊びに夢中になる中で、自然とさまざまな姿勢になり、普段あまり経験しない体の動かし方を繰り返しています。
また、遊びであれば、でんぐり返しそのものに苦手意識がある子どもも、自分のできる動きから取り組みやすくなります。
「できる・できない」という結果だけにとらわれず、楽しみながら必要な動きを経験できることが、運動あそびの大きな魅力です。
こうした経験を積み重ねることが、でんぐり返しをはじめ、さまざまな運動に挑戦するための土台づくりにつながります。

でんぐり返しにつながる後ろ向きクマさん遊び
幼児運動スクールでは、でんぐり返しにつながる遊びとして、「後ろ向きクマさんハイハイ」や「後ろクマさんじゃんけん」に取り組んでいます。
後ろ向きクマさんハイハイ
まずは、両手と両足を床についたクマさんの姿勢になり、後ろ向きに進みます。
このとき、後ろの様子を確認しようとすると、自然と頭を下げ、足の間から後ろをのぞくような姿勢になります。
この動きによって、普段とは違う逆さまの感覚を経験したり、頭を中に入れて体を丸くしたりすることができます。
また、両手で体を支えながら移動するため、腕や肩を使って自分の体を支える経験にもつながります。

後ろクマさんじゃんけん
後ろ向きクマさんハイハイに慣れてきたら、遊びを発展させて「後ろクマさんじゃんけん」に挑戦します。
今回は、子どもたちが2チームに分かれ、後ろ向きクマさんの姿勢で相手チームの陣地を目指しました。
途中で相手チームのお友達と出会ったら、足の下からじゃんけんをします。
じゃんけんが終わったら次のお友達に交代し、ゲームを続けます。
「勝った!」「負けたー!」と声を上げながら、子どもたちは夢中になって取り組んでいました。
この遊びでは、後ろを確認しながら進むときだけでなく、足の下からじゃんけんをするときにも、頭を中に入れて体を丸くする動きが生まれます。
さらに、ゲーム形式にすることで、子どもたちは楽しみながら何度も同じ動きを繰り返すことができます。
遊びの中で自然と体を丸くしたり、逆さまになる感覚を経験したりすることが、でんぐり返しにつながる動きの土台づくりになります。


「階段でんぐり返し」で回りやすい環境をつくろう
遊びを通して体を丸くする動きや逆さまになる感覚に親しんだら、実際のでんぐり返しにも挑戦します。
スクールでは、子どもたちが取り組みやすいよう、マットを階段状に重ねた「階段でんぐり返し」を取り入れています。
では、なぜマットを階段状にするのでしょうか?
そこには、2つの工夫があります。
① 頭を中に入れやすくなる
手を一段下につくことで、頭を中に入れやすくなり、背中を丸めた姿勢をつくりやすくなります。
そのため、後頭部から背中へと順番にマットにつけながら、回転する動きにつなげやすくなります。
② 回転する勢いがつきやすくなる
マットに段差や傾斜があることで、回転する勢いがつきやすくなります。
そのため、平らなマットではうまく回れない子どもも、挑戦しやすくなります。
このように、子どもたちが取り組みやすい環境を整えることも、運動指導では大切な工夫のひとつです。
実際のスクールでも、最初は慎重になっていた子が、繰り返し取り組むうちに少しずつコツをつかみ、自分から「やってみよう!」と挑戦する姿が見られました。
もちろん、でんぐり返しでは首に無理な負担がかからないよう、コーチが一人ひとりの姿勢や動きを確認しながら、安全に配慮して取り組んでいます。


小さな「できた!」が次の挑戦につながる
でんぐり返しができるようになることは、子どもたちにとって嬉しい経験です。
しかし、私たちが大切にしているのは、技術の習得だけではありません。
最初は怖くて挑戦できなかった子が、自分からマットに向かうようになったり、うまく回れなくても「もう一回!」と繰り返し挑戦したりすることも、大切な変化です。
自分なりに挑戦し、少しずつできることが増えていくことで、
- 「自分にもできた!」
- 「もう一回やってみたい!」
- 「次はこれにも挑戦してみよう!」
という前向きな気持ちが生まれます。
こうした小さな成功体験の積み重ねが、運動への自信や、新しいことに挑戦する意欲につながっていきます。
だからこそ、スクールでは一人ひとりのペースを大切にしながら、子どもたちが自分から挑戦したくなるような環境づくりを心がけています。

遊びながら運動の土台を育む
今回ご紹介した「後ろ向きクマさんハイハイ」や「後ろクマさんじゃんけん」、「階段でんぐり返し」は、どれもでんぐり返しにつながる動きや感覚を経験できるものです。
でんぐり返しができるようになるためには、でんぐり返しそのものを練習するだけでなく、その前段階となるさまざまな運動経験を積み重ねることも大切です。
これは、でんぐり返しに限った話ではありません。
幼児期には、走る・跳ぶ・支える・回るなど、多様な動きを遊びの中で経験することが、その後のさまざまな運動に挑戦するための土台になります。
幼児運動スクールでは、子どもたちの「楽しい!」「やってみたい!」という気持ちを引き出しながら、遊びを通して運動の土台を育んでいます。
できるようになった結果だけでなく、そこに至るまでの経験や挑戦する過程も大切にしながら、これからも子どもたちの成長をサポートしていきます。


