サッカーで「顔を上げよう!」と言っても顔は上がらない。

「顔を上げよう!」

サッカーではよく聞く言葉です。

試合中や練習中、子どもにそう声をかけた経験のある方も多いのではないでしょうか。

確かにサッカーでは、ボールだけでなく、味方や相手、空いているスペースなど、周りの状況を見ながらプレーすることが大切です。

しかし実は、
顔を上げられない選手に何度「顔を上げよう!」と伝えても、すぐに顔が上がるようになるわけではありません。

顔を上げられない原因は「意識してできるもの」ではないからです。

では、なぜボールばかり見てしまうのでしょうか?

サッカーを始めたばかりの子どもたちには、

・ボールばかり見てしまう
・周りが見えなくなる
・ボールがくると慌ててしまう

といった姿がよく見られます。

これは決して意識が足りないからではありません。

多くの場合、

「ボールを失わないようにしよう」
「うまく運ぼう」
「ちゃんと蹴ろう」

と、足元のボールを扱うことに精一杯になっているからです。

大人でも、初めて運転するときはハンドル操作やブレーキに集中してしまうように、 子どもたちもまずはボールを扱うことに集中しています。

その状態で、 「顔を上げよう!」 という新しい課題が加わると、さらに難しくなってしまうのです。

もちろん、声をかけることも大切です。

しかし私たちは、

「どう教えるか」

だけでなく、

「どうすれば自然とその動きが生まれるか」

を大切にしています。

風船を使いながらドリブルに挑戦!

先日の屋内サッカースクールでは、風船を使ったドリブル練習を行いました。

ボールを足で運びながら、同時に風船を落とさないように手で触ります。

足元のボールだけを見ていると、風船がどこへ飛んでいったのか分かりません。

そのため、子どもたちは風船の動きを目で追いながら、自然と視線を上げてボールを運びます。

「顔を上げよう」と何度も伝えるのではなく、顔を上げなければ取り組めない環境をつくる。

そうすることで、子ども自身が、

「風船も見ないと落ちちゃう」
「ボールだけを見ていたら難しい」
「少し前を見ながら進んでみよう」

と気づき、考えながら動き始めます。

子どもは、教えられたことよりも、自分で気づいたことの方が身につきやすく、次の挑戦にもつながっていきます。

サッカーは「足だけ」で行うスポーツではない

サッカーというと、「足でボールを扱うスポーツ」というイメージがあるかもしれません。

しかし、実際のプレーでは、足だけを使っているわけではありません。

走るときには腕を振り、相手と競り合うときには手や腕を使ってバランスを取ります。

また、試合中はボールを扱いながら、

・味方はどこにいるのか
・相手はどこから来ているのか
・どこに空いているスペースがあるのか

といった複数の情報を同時に感じ取り、その場に応じて判断する必要があります。

そのため、足元の技術だけを繰り返すのではなく、手や目の感覚も使いながら、複数のことを同時に行う経験も大切にしています。

風船とボールを同時に扱う遊びには、全身を使いながら、さまざまな情報に意識を向ける要素が含まれています。

こうした遊びの中で、

・ボールばかりを見ずに動く
・周りの状況に気づく
・複数のことを同時に感じ取る
・自分で考えながら動きを工夫する

といった力が少しずつ育まれていきます。

私たちは、「うまくできたか」だけを大切にしているわけではありません。

「次はどうすればできるかな?」
「もう一度やってみよう!」

と、自分で考えながら挑戦する過程を大切にしています。

すぐに成功しなくても、自分なりに方法を考え、もう一度取り組んでみる。

その小さな積み重ねが、

「やってみよう!」
「自分ならできるかもしれない!」

という自信につながっていきます。

そして、その経験はサッカーの上達だけでなく、自分で考え、自ら一歩を踏み出す力にもつながると考えています。

インボルブ花巻では、技術や正しい動きを一方的に教えるだけではなく、遊びや環境を工夫しながら、子どもたちが自分で気づき、考え、挑戦できる機会をつくっています!